
来る2月より4月まで【conSept2026:シーズンReBORN】と題し、3ケ月連続で3作品を企画・制作・主催するconSept合同会社が、1月14日(水)に伝承ホール(東京都渋谷区)にて約100名のオーディエンスを招き3作品の合同製作発表会を開催した。
【conSept2026:シーズンReBORN】は、2月に4年ぶりの再演となるオリジナルミュージカル作品『SERI~ひとつのいのち』からスタートし、3月は23年と24 年のノーベル賞受賞作家ヨン・フォッセとハン・ガンの 作品を演劇作品として2 本⽴てで上演するLiteraTheater vol.1『誰かひとり/回復する⼈間』。4⽉に LiteraTheater vol.2 としてアメリカの作家シルヴィア・プラスを題材にした韓国ミュージカル『シルヴィア、⽣きる』を連続して上演する企画だ。
製作発表には、3作品の出演者とクリエイター、総勢24名が登壇。作品にかける意気込みを語ったほか、ミュージカル作品の楽曲披露などが行われ、それぞれの作品の世界観を一足早く体感できる場となった。
ここでは、製作発表会の一部をレポートする。

初めに登壇したのは、2月19日(木)~3月1日(日)、あうるすぽっとで上演する『SERI~ひとつのいのち』チーム。今作は2022年に倉本美香さんの著書『未完の贈り物』(産経新聞出版)を原作とし、高橋亜子が脚本・作詞を手掛けたconSeptのオリジナルミュージカルとして上演。倉本さんの娘・千璃さんの成⻑の過程で⽣じる様々な困難に直⾯する親⼦の奮闘を中⼼にして、多様な環境で産まれ⽣きていくことについて描き、初演時に大きな反響を呼んだ。
再演となる2026年版では、親⼦と敵対する産婦⼈科医のオオヤマの背景を掘り下げることで、作品のテーマに深みを加え新たな物語として上演する。
作曲・音楽監督の桑原まこは、「目の見えない千璃ちゃんがいつかこのミュージカルを観てくれた時に、音がカラフルでありたいと思いながら、千璃ちゃんの力を最大限に借りて作曲しました」と手掛けた時に感じた葛藤やあふれる想いを語った。また、演出・振付の下司尚実は、「障害を持った方を題材にしていることで、もしかしたら観に行くことを推し量る方がいるかもしれない」と心を寄せながら、初演に続き「ぬくもりを大切に紡いでいきます」と劇場での観劇を呼び掛けた。初演につづきタイトルロールである千璃役を演じる山口乃々華は、「初演に続きまた千璃ちゃんの役を任せていただけること、心から光栄に思います。難しい役ではありますが、彩り豊かな作品になるのではないかと思います。初演を超えられるよう力を尽くします。楽しみにしていてください」と意気込みを明るい笑顔で語った。
続けて、韓国で『ジーザス・クライスト=スーパースター』や『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』などに出演、歌唱力を絶賛されているジェイミンが、母・美香役を演じることについて「この大きな挑戦に挑もうと思えたのは作品の力。言葉の壁を越えて作品のメッセージを精一杯届けたい」。また、父・丈晴役の坂田隆一郎は「父親役は初めての挑戦。観ていただく皆さんに温かい気持ちを持ち帰っていただける作品にしたい」と語った。
その他の出演は、美香と対立する産婦人科医オオヤマ役を演じる廣川三憲ほか、岡村さやか、金子大介、今森愛夏、尾川詩帆、加賀谷真聡ら実力者がオーディションを経て初参加となるほか、小林タカ鹿が初演に続き出演する。



出演者による挨拶に続いて、10名のキャストによる冒頭のナンバー「♪SERI~ひとつのいのち」の歌唱披露が行われた。静かな息遣いから始まり、やさしく歌いつなぎながら重ねていく美しいメロディーとハーモニー。力強いメッセージも感じる歌声に、オーディエンスから大きな拍手が寄せられた。

つづいて登壇したのは、3月5日(木)~3月29日(日)、ザ・ポケットで上演する舞台『誰かひとり/回復する人間』チーム。⽂学という意味のリテラチャーと劇場という意味のシアターを組み合わせた造語でLiteraTheaterと名付けたシリーズの第1弾作品は、2023年と2024年のノーベル⽂学賞受賞作家であるノルウェー出⾝のヨン・フォッセの『誰かひとり』、韓国出⾝のハン・ガンの作品『回復する⼈間』をピックアップ。6名のキャストが2本⽴てで日本初上演する。

昨年ロンドンで海外初上演され話題となった『誰かひとり』はト書きのない軽妙な会話劇。『回復する⼈間』は、短編集の中の1作品を、劇作家のオノマリコが脚本に仕立てている。2作の演出を手掛ける西本由香は、「チャレンジングでストイックな試みにワクワクしています。詩的で生活感があるフォッセ作品、小説を戯曲化したハン・ガン作品で私たちが演劇と聞いて思い浮かべる言葉というものを広げていけたら」と語り、「作家の孤独に耳を傾けることで個を自覚し、観終わった後に少しタフになって帰っていただけるような作品にしたい」と解説した。
『誰かひとり』で主演を務める山本涼介は、「今までに読んだことがない、詩のような作品。テンポやリズムを大事に、そこからあふれ出るものを大切に演じ、自分の役割を全うしたい」と意気込んだ。
つづけて『回復する⼈間』で主演を務める豊田エリーは、「どちらの作品もとても哲学的で人の内面の揺らぎを描き出す作品だと感じています。私たちの体を通して演劇作品としてどう立ち上がっていくのか楽しみにしています」と語った。
同作に出演する鈴木勝大、智順、平野良、古河耕史もそれぞれ、稽古の前段階で感じている作品への印象と、難解と思える作品に挑む気持ちと覚悟を語った。


出演者による挨拶に続いて披露されたのは、『回復する⼈間』から台本の⼀部を抜粋した朗読形式によるパフォーマンス。前半は物語の根幹が提⽰される作品の導⼊部、後半は物語の主軸となる「わたし」と「姉」の⼆⼈の会話を中⼼とした場⾯が披露された。観たことがない世界観に息を飲み、静寂に包まれた会場からは、ここにどのような動きや場面が生み出されるのだろうという期待を込めた拍手が届けられた。
また、フォトセッションの前には、この日誕生日を迎えた豊田氏へサプライズで花束が贈呈される一幕も。

最後に登壇したのは、LiteraTheaterシリーズ第2弾として4月2日(木)~4月26日(日)、ザ・ポケットで上演するミュージカル『シルヴィア、生きる』に出演する平野綾、富田麻帆、鈴木勝吾、伊藤裕一、原田真絢の5名。

アメリカを代表する詩⼈で⼩説家のシルヴィア・プラスの⼈⽣を取り上げた今作は、2022年に韓国で初演され話題となった。日本初演となる今回の演出はミュージカル俳優・ミュージシャンとしても活躍する藤岡正明が手掛ける。
タイトルロールのシルヴィア・プラスを演じる平野綾は、「シルヴィアの心境は彼女が遺した多くの作品の中にヒントが散りばめられていると思います」と語り、特に印象的だった詩の一節<血がほとばしるのが詩だから、それを止めることは出来ない>を引用し、「私も役者として表現することを追求し、あきらめず最後まで彼女の人生を生き抜きたい」と力強く語った。シルヴィアの友人・ヴィクトリア役を演じる富田麻帆は、製作発表の楽屋でのキャスト5人の和気あいあいとしたエピソードを紹介し、「重い題材を扱った作品ですが、きっと稽古場は楽しくなるはず。皆で悩み、皆で作っていく作品になりそう。楽しみにしていてください」と明るくメッセージ。シルヴィアの夫・テッド役を演じる鈴木勝吾は「今に通じるメッセージがたくさんあるはず」、テッドの友人・アルバレス役の伊藤裕一は自ら死を選んだシルヴィアについて、「何度も生きたいと願いながら作品を作ったり、人生を全うしようとしていたのかなと考えると、ReBORNというタイトルがついたこのシリーズのパズルがはまるような感覚。素敵なものをお届けできると思います」と語り、精神科医・ルース役の原田真絢は「ひとりの人間がどう生きたくてどう死んでいったのか、劇場で一緒に会話しながら向きあっていきたい」と期待を込めた。
挨拶につづき、平野氏によるソロ歌唱。『シルヴィア、⽣きる』の代表曲「♪詩は私そのもの」が初披露された。繊細さと力強さを併せ持つシルヴィアの世界観を美しく情熱的に歌い上げ、会場中に余韻を与えたパフォーマンスに盛大な拍手が贈られた。

製作発表のラストは3作品すべてのキャストとクリエイター総勢24名が舞台に勢ぞろいし、質疑応答が行われた。質問と回答要約は下記の通り。
●『SERI~ひとつのいのち』初演の反響について
山口乃々華
「SERIはとても大事な作品。観に来ていただいた皆様が笑顔になって帰ってもらえたことがとても嬉しかった。原作者の(倉本)美香さんから、こんな風に千璃が思っていたのかもしれないと思うととても嬉しいという言葉をお聞かせいただいた時には感激しました。誰かのために生きている人や、誰かを強く思っている人、そんな人にとても刺さる作品に今回もなるのではないかなと思っております」
●『SERI~ひとつのいのち』初めての母親役、父親役について
ジェイミン
「親の役も初めて、夫婦役も初めて、どちらも初めてなので、初めて親になった美香さんと丈ちゃんの気持ちが素直に伝えられるんじゃないかなと思っています」
坂田隆一郎
「丈晴がするように、友達や自分の父親、母親にアドバイスをもらったりしながら成長していく姿を見せていきたいなと思っています」
●『誰かひとり/回復する人間』2作品の印象の違いについて
豊田エリー
「空気感、通底するものはすごく似ていると思います。『誰かひとり』は、一人の人間の中の多面性、抱えている矛盾などを二人で演じたりするようなセリフの構成や、すごく間を取る、もしくは取らないというのが明確に指示された脚本なので、どうリズムを持って言えるか。『回復する人間』は心や体の傷、痛みの話ですが、身体的な表現、体を使ってどうシーンを立ち上げていくかなど、作品への向き合い方の面白さを感じています」
●『誰かひとり/回復する人間』作品にどう挑みたいか
山本涼介
「普段は何回か読んだだけで、大きな骨組みというか、こういう風にしたいとイメージ出来るのですが、今回に限っては本当にイメージがなかなか湧かなくて難しい台本だなというのが率直な感想です。稽古でしっかり作り上げていきたいと思っています」
●『誰かひとり/回復する人間』二つの演目を連続で見ることにどのような面白さがあるか
西本由香
「フォッセとハン・ガンという作家二人の個性の違いは明らかに出ると思います。深刻なイメージが先行しますが、リズムの中におかしみもある作品です。読み合わせやワークショップを通じてキャストの皆さんの多面的な部分が見えましたので、フォッセの言葉が持つユーモアをこのメンバーが体現してくれるのではないかと感じています」
●『シルヴィア、⽣きる』演じていく上で大切にしたいと思っていること
平野綾
「彼女は韻を踏むセンスなど、ほかとは全く違う才能を持っていたということで伝説的になっています。彼女の遺した作品は、結婚、出産、離婚など彼女の人生で何が起きたかそれぞれのタイミングを物語っていると思います。単語の一つ一つまで逃さず、少しでも吸収できたらと準備しています」
●『シルヴィア、⽣きる』藤岡正明さんが演出を担当されることについて
鈴木勝吾
「ミュージカル作品やコンサートでご一緒していますが、ミュージカルの演出家としてご一緒させていただくのは初めてなのでとても楽しみです。彼の持ち前の明るさというか、演劇を愛する心で、愛の詰まった作品になるのではと大変期待しています」
●オーディエンスの皆さまからの質問①/小劇場ならではの魅力を教えてください
原田真絢
「大劇場では味わえない距離感、没入感があって、小さい箱ならではの空気の流れ方みたいなものがあると思います。『シルヴィア、生きる』のような5人でのミュージカルの上演機会は多くはないと思うので、リアルな空気感でお届けできたらいいなと思っています」
平野良
「20年くらい前は小劇場での出演が多かったので、僕の体感ですがやはり命を直に感じやすいのが魅力だと思っています。歌もそうですが、振動や息遣い衣擦れの音など、より体感しやすいのが小劇場の良さではないかなと思っております」
●オーディエンスの皆さまからの質問②/conSeptの作品の魅力とは
伊藤裕一
「『アーモンド』という作品に出演した際に、作品作りに対する情熱を感じました。作品のPVなどもすごくおしゃれでありながらも突き詰めている点でファンになりました。今回ReBORNという形でまた新しく関われることは光栄ですし、あの頃よりも僕も多少なりとも力をつけてきたと思いますので、作品の力になれるように頑張りたいと思います」
撮影:岩田えり /執筆:栗原晶子
〈製作発表舞台挨拶全テキスト〉
●SERI〜ひとつのいのち 2026
▼桑原まこ(作曲・音楽監)
お話をいただいた時にまず原作を読ませていただきましたが、今まで感じたことない気持ちがいっぱい出てきて、やらせてくださいと言うまでに1ヶ月お返事ができなくて、待っていてもらったことを今でも思い出します。当時私は自分のことで精一杯で、人に優しくするのもうまくできなくて、そんな弱い自分なのに、いろんなことを乗り越えて生きている美香さんと千璃ちゃんの想いを私が曲にしていいのかと悩みましたが、千璃ちゃんの力を最大限に借りて、千璃ちゃんがいつかこのミュージカルを見てくれた時に、音がカラフルでありたいと思って一生懸命書きました。今回細かいブラッシュアップはいっぱいありますが、私は変わらない部分をすごく大事にしていて、テーマ曲にもある“SERI、SERI”と名前を歌にしてるところが1番好きで、そこ歌うとてとも誇らしい気持ちにもなり、あったかい気持ちにもなるし、みんなが笑顔になって、それを歌詞にしてくれた(高橋)亜子さんにもすごく感謝しています。やっぱり劇場で見ていただきたいので、皆さんいらしてください。
▼下司尚実(演出・振付)
舞台を見る作業はお客様にとってとても体力のいる行動だと思います。観劇スケジュールを組むときには、皆さんの生活リズムに合わせたり、色々なこととバランスをとって見に来てくださっていることと思います。この作品が障害を持った方を扱っているので、観に行くことを推し量る部分が出てきてしまうこともあると思うんですけども、私たちの人生がそうであるように、美香さんと千璃さんとそのご家族と、その方々に出会った人たちの毎日が苦しいだけでなく、人生に明かりが灯るような、笑い合える時もあったりとか、そういった温もりを大切にこの作品を初演の時に紡いで、今回もその気持ちを大事に作っていきますので、ぜひ劇場にいらしていただければいいなと思います。
▼山口乃々華/千璃役
初演に続き、またこうして千璃ちゃんの役を任せてもらえること、本当に心から光栄だなと思っています。とても難しい役ですが、プロフェッショナルの皆さんのお力をお借りして、初演もですけれども、より彩り豊かなカラフルな作品になるんじゃないかなと楽しみにしています。
初演を超えられるように力を尽くして頑張りたいなと思っていますので、皆様ぜひ楽しみにしていてください。
▼ジェイミン/母・美香役
はじめまして。ジェミンと申します。私は韓国人で、日本で日本語でミュージカルをするのは初めてです。自分の人生にとってとても大きな挑戦ですけど、やってみたい、挑戦してみたいっていう確信を持てたのは、この作品の力だと思います。
言葉は難しいかもしれないんですけど、それを超えられるように、美香として立ってこの作品のメッセージを皆さんに届けたいと思います。全てを尽くして頑張りますので、ぜひ応援に来てください。
▼坂田隆一郎/父・丈晴役
ついに父親を演じる歳が来たかと、初めての挑戦です。この物語がちょっとセンシティブで、気軽には来られないかもしれませんが、希望が待っている、観ていただく皆さんにも何か1つでも温かい気持ちや、見終わった後に苦しい場面はあったけど、明日の自分に向かって言葉では表せない大切な気持ちを持って帰っていただける作品になるのではないかと思ってます。
▼廣川三憲/産婦⼈科医オオヤマ役
ご両親と激しく対立する役柄なんですけれども、実は彼は彼なりに苦しみを抱えていた、そういう部分を今回は特に掘り下げて書き改めていただいたものと聞いています。大変責任の思い役どころだと感じています。また彼が抱えている苦しみというのは、それもちょっとセンシティブな内容をはらんでいまして、また1つ違った視点で彼が見つめている命というもの、社会から排除されてはならない命というものの視点が、より今作では濃く描かれているんじゃないかと思います。皆さんに評価していただけるように、しっかり演じたいと思います。
▼⼩林タカ⿅/ジョーンズ弁護士役
僕の役は初演の時も演じましたが、その時はイタリア系のアメリカ人という役柄で、今回はちょっと変更になるそうで、それがどんな風にお芝居の中に関わって深まるのかを見つめながら演じていきたいと思います。皆さんと同じ気持ちで邁進していきたいので、よろしくお願いいたします。
▼岡村さやか/ミラー弁護士役
私はとても困難な裁判に立ち向かっていく美香さんを弁護士として支える役どころです。支える側ですが、ミラー弁護士自身も美香さんとそのご家族から人生の中でとても大きな影響を受けて、価値観が変わったのではないかと思っております。私自身、この作品に取り組む中で、自分が今持っている価値観ですとか考え方をポジティブに疑って成長して、この作品が持っている力をしっかりとお客様に届けていきたいと思っております。
▼金子大介/書記官役
私事ですが、私には2歳年上の障害を持つ兄がいます。私にとって小さい頃から障害というのは身近なテーマの1つであり、自分の人生の大きなテーマの1つでした。数年前、書店で偶然この作品の原作である『未完の贈り物』という本を見つけて、衝動的に買いまして、一気に読み、そして時を経てそれを原作としたこのミュージカルに参加できることを大変嬉しく思っております。精一杯努めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
▼今森愛夏/形成外科医役
私は普段、関西を拠点に活動していまして、今後の幅を広げていきたいということで、このオーディションに参加し合格をいただきました。本当にびっくりと、嬉しさといろんな感情が混ざっていて、今はとてもワクワクしています。少し稽古が始まっていまして、皆さんが素敵な方々ばかりで刺激を受ける毎日です。デリケートな部分が多い作品ですが、いろんな愛が詰まった作品なので、それを大切に丁寧に描いて、皆さんに何か感じ取っていただけるような作品になるように頑張りたいと思います。
▼尾川詩帆/メディエーター役
このメディエーターは、美香さんご家族とオオヤマの中立の立場で、事実だけではなく感情も寄り添いながらまとめていく立場になります。原作を読みますと、このメディエーターの人物は、思った以上に細かく描写をされておりまして、きっと美香さんご家族にとって、1つ1つのシーンが忘れられないくらいに印象深く、忘れない時間だったのではないかなと思っています。その想いをしっかり受け止めて、この作品に向き合っていきたいなと思っております。
▼加賀谷真聡/先生役ほか
僕が演じる先生役は、千璃が6歳から18歳まで寮で生活して学校に通う12年間を見守る立場です。倉本家で過ごした6年間よりも倍近い年月を過ごすわけなので、その覚悟と、千璃が感じてきた愛よりも、更に深く強く接していかなければならない、そういう役作りをしていきたいと思います。この作品を通じて、来てくださったお客様に何か1つでも勇気になって、それが明日への活力につながるような愛をお届けしたいと思います。
●誰かひとり/回復する人間
▼西本由香(演出)
この2作品を並べて上演するお話をいただいた時に、なんてチャレンジングで、すごくストイックな企画だと驚いて、とてもワクワクしました。
チャレンジングという意味では、フォッセの戯曲はいわゆる一般的な会話劇のセリフとは違って、詩的でそれでいて生活感がある。ハンガン作品は小説を戯曲化しています。
演劇の言葉は私たちが考える以上に幅広くて、語りの言葉や、その人が思っている心から出る言葉、客観的に俯瞰した視点から語る言葉だったり。この2作品に挑むことで、自分が考える演劇の言葉というものをもう1つ広げていけたらと思っております。
2つに共通するテーマの“孤独”は、すごくネガティブに語られることがありますが、作家の孤独に耳を傾けると、1人1人かけがえのないものだと改めて自覚できると思います。
観終わった後に少しタフになって帰ることができるような作品になったら。
▼山本涼介
フォッセの『誰かひとり』は、最初台本をいただいた時から、今までに僕が読んだことのない台本の書き方でした。詩のような感じでト書きがなくて句読点も全然ないような台本で、とてもセリフのテンポ感が大事だと感じたので、そのテンポやリズムを大事にしながら、そこから溢れ出る感情を大事に演じて、自分の役割りをまっとうできたらと思っています。頑張ります。
▼豊田エリー
どちらも日本初演となるので、まずはワクワク感があります。そしてどちらの作品もとても哲学的で、人の内面の揺らぎを描き出す作品だなという感触を持ちました。それが私たちの身体を通して演劇作品としてどう立ち上がってくるのか、私自身とても楽しみにしているところです。ぜひ多くの方に観ていただきたいです。
▼鈴木勝大
2作品ともすでに本を読みましたが、少なくとも今までの僕の経験と知識だけでは、どういった舞台になるのか本当に過去1番ぐらい想像がつかない作品です。稽古を通してこの本が演劇になっていく過程ごと楽しんでいけたらいいなと思っています。
▼智順
今の率直な気持ちとしては、ものすごく大変そうな舞台だなとみんなで話しております。
まだ稽古が始まっていませんが、一度本読みをして、動きのワークショップに参加しましたが、まだまだ見えない部分がたくさんあると思っています。
西本さんの演出のもと、このメンバーだから作り上げることができる唯一無二の作品になればいいなと思っています。
▼平野良
2作品とも非常に読解するのが難しい作品ではございますが、言葉は器でございますので、そこにどういった感情や想いを注ぎ込んで体現していくかが演者の仕事だと思っております。孤独がテーマではございますけが、本当に和気あいあいとした、いいチームなので手と手を取り合って、いろんな感情を生み出す作品を作れたら。
▼古河耕史
僕は演劇が好きで生きてきましたので今回のような芸術の力を信じる企画に呼んでいただけたことはとても幸福に感じております。
フォッセとハンガンの作品に触れられたことのある方はお察しかと思いますが、この2つの作品、どちらも非常に向き合うのが大変です。
親、兄弟、子供、近くにいてもどこにいても、どこかで自分と同じこの世界を生きてきた人間。見失っても、忘れ去ろうとしても、そこにいつもいる、いなくならない誰か。
そういう家族というものを扱った作品かなと思っております。ひとりでは難しいですが、皆さんと一緒に向き合う時間が持てることをとても楽しみにしております。
●シルヴィア、生きる
▼藤岡正明(演出)
本作の中に大きく関わってくるシルヴィア・プラスの小説「ベル・ジャー」は、彼女が命を絶った同年、1963年にイギリスで出版されました。ベル・ジャーとはガラスでできた鐘のことで、この鐘の中に閉じ込められてしまうのだと彼女は表現しています。
我々が生きる現在にも、至るところにこのベル・ジャーと言う名の生きづらさが潜んでいます。30歳でこの世を去ったシルヴィア・プラスに、生きるという別の可能性を込めて挑む本作を、個性豊かな魅力に溢れるキャストスタッフとともに作り上げてまいりますので、どうぞご期待ください。
▼平野綾/シルヴィア役
彼女は若くして自分の人生に自分で決着をつけました。それは決して悲観的な部分だけではなく、彼女にとっては生き直す、生まれ直すという意味でとても大切な方法だったと伺っています。彼女の心境は、彼女が今まで残した多くの作品の中にヒントとしてたくさん散りばめられていると思って、今たくさん読んでいる最中ではあるのですが、その中で「血のほとばしりが詩なのだから、それを止めることなど出来やしない」(「親切」より)という詩がありまして、すごく印象的でした。私も役者として表現することを追求し、諦めずに最後まで彼女の人生を作品の中で生き抜きたいと思っております。
▼富田麻帆/ヴィクトリア役
私たちはまだ稽古が始まっていないので、どんな感じになるのかこれからわかっていくと思います。私たち5人が揃ったのはビジュアル撮影と今日の2回目ですけれど、2回目にも関わらず楽屋でしりとりをしたりして、とても重い題材ではありますが、きっと稽古場も楽しいであろうと思っています。演出の藤岡さんを筆頭にみんなで悩んで、みんなで発見して、みんなで作っていく、そういう作品になるとも思っています。
色々なことを考えさせられるシルヴィアの言葉は、激しくもあり、だけど美しいからこそ今の人の心にも刺さっています。それを大切にお届けできたら、楽しみにしていてください。
▼鈴木勝吾/テッド役
この生きづらい時代の中で、自分の人生に真剣に悩んで生き抜いて、自分で決着をつけた1人の女性の話を中心にこれから物作りをしていきますが、現代を生きる方々に通じるメッセージがたくさん込められていると思っております。
ポケットという濃縮された劇場で、わりと長い期間公演がございますので、1人でも多くの方に今を生きる力になるような作品を届けたいです。どうぞ劇場に応援に来てくれたら嬉しいです。
▼伊藤裕一/アルバレス役ほか
シルヴィア・プラスという人間は何度も自殺を繰り返していて、これは一体どういう心理状態なのだろうと、すごく考えました。つい最近たまたま読んだ哲学の本に、“死にたいと思うのは、よく生きたいと願うから”と書いてあったんです。
ということは何度も何度も生きたいと願いながら彼女は作品を作り、人生を全うしようとしていたのかなと。なおかつこの企画はReBORN(リボーン)ということで、いろんなパズルが綺麗にはまって、あとは僕たちが真面目に稽古をすれば、きっと素敵なものをお届けできると思っています。
▼原田真絢/ルース役ほか
命について考えることがとても多くなっている時代と思っています。
今、snsなど人の温度を感じないところで話し合いが行われたり、憶測で話が広がったりする時代ですが、1人の人間がどう生きたくて、どう死に向かったのか、それを劇場で一緒に会話することができたらと思っています。そしてこれだけ明るいメンバーと向き合えることもすごく楽しみにしています。