豆知識まとめ

#012018年1月28日にNYで開催された第60回グラミー賞。ブルーノ・マーズが最優秀アルバム賞をはじめとする主要3部門を受賞したことで話題になりました。
『In This House~最後の夜、最初の朝~』の作曲をしたマイク・リードも実はグラミー賞受賞者。さかのぼること35年前、1983年の第26回グラミー賞では盲目のカントリー歌手、ロニー・ミルサップの歌う「Stranger In My House」で最優秀カントリー・ソング賞を受賞しています。
http://goo.gl/vnNEin
もとアメフト選手であり、カントリー・ミュージック界の人気ソングライターとしても活躍した彼の手による話題のミュージカルの日本初演に注目です!

#02『In This House』の作曲をしたマイク・リードについての話を続けましょう。1947年にペンシルベニア州アルトゥーナ生まれの現在70歳。
地元のペンシルベニア州立大学に進学して音楽を専攻しながらアメフトにも目覚めます。名コーチとして有名なジョー・パターノの指導のもと1968-69年の2年間キャプテンを務め、この間チームは無敗の31連勝という大記録を樹立。翌70年のNFLドラフトでシンシナティ・ベンガルズの第一指名を受け、プロのアメフト選手としてのキャリアをスタートします。
マイクにとって故郷アルトゥーナは、スポーツに全身全霊を捧げた青春時代の象徴。そんな若かりし日の彼の姿が主人公のヘンリーに投影されているのかも知れません。

#03この作品の舞台となるのはバージニア州ラウドン郡。ワシントンD.C.の郊外にあるのどかな田園地帯でしたが、1980年代後半からAOLなど大手IT企業のデータセンターが次々と集まり、いまでは世界のインターネットトラフィックの70%が流れる世界有数の場所になっています。
しかし今でものどかな景色は色濃く残り、真冬の大雪も珍しくありません。そんな雪深い大晦日の夜、物語の幕が開きますー
ちょっと北海道的な景色ですね。

#04ジョニー・ダマートはメリーランド州ボルチモアで警官をするイタリア系アメリカ人。ここは「アイスクリームの故郷」として知られており、1700年頃に州知事が客人に提供したことが史上初の記録として残っています。ジョニーの遠い祖先であるイタリア人が伝えたジェラートが「アイスクリーム」として生まれ変わった、まさにイタリア系アメリカ人にとっての故郷とも言える場所です。

#05ジョニーの恋人であるアニー・フリードキンは世界中の野戦病院を飛び回るトリアージナース。厳しい状況下でひとりでも多くの命を救うため、患者の重症度を的確に判断して治療の優先順位をつけるトリアージのスキルを持つ看護師です。写真はその一般的な判断プロセス(外傷初期診療ガイドライン日本版 改訂第3版より)。日本でも人気を博した海外ドラマ『ER緊急救命室』を思い浮かべれば、その過酷さが想像できるでしょう。

#06ヘンリー・アーデンはアルトゥーナ・マウンテニアーズというマイナーリーグの球団の元内野手。同球団は実際に存在し、1904年から3年間ペンシルバニア州で活動していました。1906年8月2日の記録写真では本拠地クリケット・フィールドで試合をする選手たちのかたわらでのんびりテニスを楽しむ観客が見られるなど、当時のゆったりとした時間の流れを感じることができます。

#07ルイーサ・アーデンは長老派教会に属する敬虔なキリスト教徒。16世紀の宗教改革において生まれた長老派教会は「予定説」を唱え、人間というものは生まれる前から天国に行けるかどうか決まっている、つまり神に選ばれた者はなにをやってもうまくいくものだと教えます。職業的成功や蓄財を奨励するというキリスト教「らしからぬ」教義で、新興国アメリカを築き上げるための強力な追い風となりました。

#081920年から33年まで禁酒法のあったアメリカ。当時はこっそり自宅で密造酒をつくる人が後を絶たず、月明かりに照らされて作業をしていたことから「ムーンシャイン」という隠語で呼ばれていました。アルコール度数を高めることが第一とされ、味は二の次。なんとか飲めるものにするために色々なカクテルが生み出されたと言われています。劇中でも登場する密造酒、果たしてどんな味がするのでしょうか?
因みに写真は密造酒の復刻版。Amazonなんかでも売ってるようなので禁酒時代を味わってみるのもいいかも知れません。

#09かつてインフルエンザは死に至る病でした。最大のパンデミック(世界的流行)は1918年から19年に起きた「スペインかぜ」。その発祥はアメリカで当時の世界人口の3割が患い、5000万人が死亡したと言われています。その波は日本にも上陸し、NHK連続テレビ小説「マッサン」でもその様子が描かれていたほど。ヘンリーとルイーサもまさにその時を生きていましたー

#10劇中で重要な出来事として登場する「スピード違反」。日本では青切符なら反則金を払って終わりですが、アメリカでは保険料の大幅アップが待っています。そのため裁判所で無実を主張して減刑を勝ち取ろうとするケースが多く、出頭前には交通違反専門の弁護士事務所からの積極的な売り込みも。保険会社が警察にスピードガンを無料配布しているとの噂もあるほどで、立派なビジネスになっているようです。

#11『IN THIS HOUSE』は家族をめぐる物語。「古き良き家族」と聞いて、どんな家族を想像しますか?日本ではサザエさん一家が代表格であるのに対し、アメリカでは夫と妻を中心とする「核家族」が1960年頃までの主流であり、輝く時代の象徴でもありました。しかしいまや2組に1組が離婚する社会へと様変わり。離婚や非婚に伴う単親家庭や単身者が多数派を占め、家族の定義はより多層的になっています。

#12『IN THIS HOUSE』は壁をめぐる物語でもあります。それはルイーサと暮らすファームハウスのまわりにヘンリーが黙々と築き上げた石壁であり、雪道でスリップした車をその壁にぶつけてしまうことからジョニーとアニーが加わり、不思議な一夜の幕が開きます。壁を通してめぐり逢った4人は雪深い大晦日の夜をともに過ごすことで、自らの心の中にある壁にも向き合うことになるのですー

追って全豆知識を公式サイトに掲載予定です。ご来場予定の方はご観劇前に是非振り返ってみてください。それでは会場でお待ちしてます!

#13 secret「あなたは幽霊を信じますか?または亡くなった人の魂が特定の場所に戻って来ると信じていますか?」ーこの質問に45%のアメリカ人がYESと答えました(2012年の世論調査)。建国の精神的支えとなったキリスト教では、亡くなった人が幽霊になって姿を現すという考え方はありません。ひょっとすると、わたしたちと同じ時を過ごしているそういった存在が、世界の見方を変えているのかもしれません。 (参考URL : http://big.assets.huffingtonpost.com/ghosttoplines.pdf

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