- 2022/02/15blog news リリース案内
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conSept〜2022年ラインナップ
conSeptは2022年に下記の3作品をお届けいたします。
詳細な情報は続報をお待ちください!■ヤングアダルト・シリーズ#1『アーモンド』■
2020年本屋大賞翻訳小説部門1位に輝いた韓国発のヤングアダルト小説「アーモンド」がいよいよシアタートラムで開幕します。
もっと多くの若年層やファミリー層に舞台公演を観劇していただきたいという思いを込めて、ヤングアダルト小説の舞台化をテーマに新たなシリーズを立ち上げました。その名の通り「ヤングアダルト・シリーズ」です。
本作を始めとする良質なヤングアダルト小説は、その主な登場人物が青少年で、その年代特有の悩みについて語られていると同時に、年代に関係なく一度は考えるべき社会問題も内包しています。
そんなヤングアダルト・シリーズの第1弾としてお届けするのが本作『アーモンド』。
多くの読者が、他者を思い理解する難しさについて共感したというこの作品の脚本・演出を手がけるのは板垣恭一さん。conSept作品に初参加となる振付家・山田うんさんとのコラボによって、会話劇と身体表現の面白さを掛けあわせることで、「アーモンド」の小説とは違う魅力を最大限に引き出すために連日取り組んでいます。
只今稽古真っ最中、チケットも発売中ですので、どうぞご期待ください!
■上演期間:2022年2月25日(金)〜3月13日(日)
■会場:三軒茶屋・シアタートラム
■主なスタッフ
原作:ソン・ウォンピョン(チャンビ刊)
翻訳:⽮島暁⼦(祥伝社刊)
脚本・演出:板垣恭一
振付・ステージング:山田うん
音楽:桑原まこ
■出演
長江崚行、眞嶋秀斗、智順、伊藤裕一、佐藤彩香、神農直隆、今井朋彦
■公式サイト
https://www.consept-s.com/almond/
■Dialogue in Theater #2 『ハイゼンベルク』■conSeptによる会話劇第2弾はサイモン・スティーヴンスと2人の演出家によるコラボ企画。
“確かな事は不確かという事だけ”
『夜中に犬に起こった奇病な事件』でトニー賞を受賞した劇作家サイモン・スティーヴンスさんによる2015年オフ・ブロードウェイ初演作を日本初演します。
原題である「Heisenberg」が示すように、この作品はドイツの物理学者であるヴェルナー・カール・ハイゼンベルクの「不確定性原理」を下敷きにしたもので、「二つの離れた粒子の運動量や相関関係を正確に測り決定する事は出来ない」という意味を二人の男女の関係性に置き換えて語っています。
こう書くと何やら難しい話に聞こえますが、その会話はウィットに富んだコメディタッチとも捉えられるもので、しかし互いの関係性が常に揺れ動き変化する様をじんわりと炙り出していきます。
オフブロードウェイ初演時にニューヨークタイムズで“全てが終わったずっと後に、この作品は心に響いてくる”と評された本作を演出するのは小山ゆうなさんと古川貴義さんの2人の演出家。
人と人の関係性の揺らぎを2組の演出家と2組の男女から導き出そうというちょっと変わった企画となっています。
■上演時期:2022年7月・8月
■会場:中野ザ・ポケット
■主なスタッフ
脚本:サイモン・スティーヴンス
翻訳:小田島創志
演出:小山ゆうな、古川貴義
■出演
後日発表
Musical Drama #7『セリ(仮)』目も鼻もない状態で生まれた女の子・千璃(セリ)と彼女の母・美香(ミカ)による8年間の戦いを綴った実話に基づく物語が『いつか〜one fine day』『GREY』に続くconSeptのオリジナル・ミュージカルとして誕生します。
“君には、どんな世界が見えてるの?”
【暗闇でこそ輝く光を求めて】
障害児を異国で育てる苦労、自身の心と身体との戦い、友人・家族との葛藤、娘誕生にまつわる医療裁判、繰り返される千璃の手術・・・。
原作には母であり異国の地で働くキャリアウーマンとしての倉本美香さん本人の視点からルポルタージュや手記のような形で娘・千璃を取り巻く8年間のお話が綴られています。そして18歳になった現在、千璃は家を飛び出し新しい環境でまだ成長の途中。
今回のミュージカル化に当たっては視点を原作者から娘・千璃に切り替え、彼女が感じたであろう痛みや喜び、苦しみ、そして言葉ではない父と母との対話を演劇的・音楽的想像力を借りて紡いでいきたいと考えています。
その脚本・作詞を手掛けるのは、大小様々なミュージカル作品で翻訳・訳詞を担当する一方、オリジナル作品でも脚本・作詞家として活躍する高橋亜子さん。そして音楽は『いつか〜one fine day』『GREY』に続き桑原まこさんにお願いしました。また演出はこれまでconSept作品で主に振付・ステージングをしてくださっていた注目の演出家・下司尚実さんが担当します。
conSept作品での新たなクリエイターたちのコラボレーションにご注目ください!
■上演時期:2022年10月
■会場:博品館劇場
■主なスタッフ
原作:倉本美香
脚本・作詞:高橋亜子
音楽:桑原まこ
演出:下司尚実
■出演
後日発表
- 2021/06/09blog news いつか2021ニュース
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ほんとうの笑顔のカタチ
出会いは突然に訪れて、そして時間とともに形を変えてどんどん想定を超えたところへ導いてくれる事があります。
これは作品の話でもありますが、人との出会いの話でもあります。『One Day』という作品に出会ったのは、韓国滞在中に偶然映画が公開されたばかりだったからでした。
その原作者のイ・ユンギ監督と出会ったのは2006年、たまたま仕事の縁で私が監督の通訳を担当した事があったからで、当時映画関係の仕事をしていた私ですが、監督とは「そのうち一緒に映画を作りたいね」と話していたものの、それは未だに実現していません。板垣さんとの最初の出会いは2008年。板垣さんが演出されていた『ラムネ』という作品を観劇した後に会場でご挨拶したと記憶しています。この作品自体に私は関わっていませんでしたが、当時私は韓国ミュージカルのコーディネーターという仕事もしていた関係で、韓国がらみ、韓国原作の作品の現場にはよく顔を出していました。それから随分と時間が経って2016年、会社を辞めたばかりの私が舞台を作る側の人間として正式に板垣さんに名刺をお渡ししたのは『滝廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』の現場に少しだけ携わらせていただいたときでした。
その翌年である2017年、『グーテンバーグ・ザ・ミュージカル』という現場で凄い才能に出会います。作曲家の桑原まこさんです。これが私の最初の、ミュージカルプロデュース作品でもありました。そして、この現場には日本語上演台本・訳詞・演出家として板垣さんも参加されていました。
こうして2006年にイ監督に出会ったことから始まった道のりは2019年に『いつか〜one fine day』という形で焦点を結びました。イ監督に出会ったときはもちろん、板垣さんに出会ったときも、桑原さんに出会ったときですら、『いつか』という作品が生まれるとは思っていませんでしたから、今更ですが客観的に「不思議」と「驚き」を感じてしまいます。
誰かに出会った事で、少しずつ自分が想定していたこととは違うステージに導かれてきたわけですが、コロナ禍でもネットワーク越しにそんな出会いの種がたくさん生まれました。
しかし一方で、直接会って感じられる解像度4K以上レベルの感覚はどこかで失われてしまった感じがあります。
「見る」「聞く」「話す」はできますが、同じ空間で感じる温度感、ざわめき、匂い、触感のようなものを共有することは難しく、どこかしら少しずつ閉鎖的になり後ろ向きになる自分を感じたりもした一年間だったように思います。
昨年2月の最初の中止公演『HUNDRED DAYS』からの流れでひたすら走り続けて、今年の3月公演『サイドウェイ』が終わったときに『いつか』の再演を控えてふと立ち止まって考えてみました。何かが麻痺しているかもしれない。
今一番楽しくて、そして逆に一番つらい事ってなんだろう。
つらい事なら些細なことがいくらでもありました。眠たいのに眠れない、食べたいのに食べれない、行きたいのに行けない、会いたいのに会えない・・・。
こうありたいのにそうできないとき、そうできない状況にあるとき、それが不可抗力であっても無力さを感じてしまったり。ありたい状況、やりたい事の本質から自らを遠ざけることは疎外を生み、生まれた疎外は負のエネルギーになって誰かを傷つけてしまうことだってあり得ます。
私自身、これほどやりたい事をやっているはずなのに、何故か自分の心がその真ん中にいないような不安を感じている事に気付いたのです。
ああ、やりたい事をやっているはずなのに全然楽しんでないな自分、と。強引ですが、この『いつか〜one fine day』の劇中で出会った人たちは、それぞれにつらさを抱えながら、それでも出会った誰かに寄り添おうと努めます。それが不格好なものだとしても。
自分の心にさえ寄り添えていないのに、他人の気持ちに寄り添うなんて更に難しいことだと思いますが、寄り添える関係性を作ることでしか見出せない人間同士の付き合いの面白さというのがあるような気がします。
そうした出会いを通してこの作品が生まれたわけでもありますから。
そして今回集まってくださった新たな出演者の皆様もまた、『いつか』を「こういう作品でもあるのか」という次元に導いてくださいました。会いたいときに会える。
コロナ禍が明けても、その幸福感を愛でられる気持ちを忘れないでいたいものです。テルやエミたちが見つけたであろう「ほんとうの笑顔のカタチ」のように。
『いつか~one fine day』をご覧の皆様とともに笑顔でいられますように。
2021年6月9日
プロデューサー
宋元燮
- 2021/02/10blog
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Keep Challenging
2021年が始まって既に1ヶ月が経ちました。
まずは遅ればせながら2020年にあらゆる形でconSept作品をご覧いただいた皆様、携わってくださった皆様、ご関心をお寄せいただいた皆様に心から感謝申し上げます。
なんとか多難な2020年に耐えて、こうして2021年にお届けする作品のために言葉を綴れる事が嬉しくてたまりません。一方で、まだ継続中のコロナの中で何ができるのか、何をお届けすべきかは五里霧中という感覚が拭えないのも事実です。
2020年を振り返りましすと、2月に『HUNDRED DAYS』を途中で諦めたときの嫌な震えはまだ感覚として身体に残っていますし、同時に無観客配信を実現したときの震えも良い感覚として身体がいまだに覚えています。
一呼吸ついて9月に上演した『Fly By Night〜君がいた』では全20公演のライブ配信を敢行しました。劇場での公演を観劇するのと同じように、いつでもご覧にいらっしゃれるような環境にしたかったためです。なかなかハードルの高い作業でしたが、実施した意義はあったと感じています。そして11月には『いつか〜one fine day』のコンサート版を実施しました。単体の舞台作品のために紡がれた楽曲だけ抜き出すと物語が伝わらず中途半端になるのでは・・・という懸念の声もありましたが、板垣恭一さんの歌詞と桑原まこさんの音楽の世界にどっぷり浸かっていただけるような場にしたいと思って考えた企画だったので、ご覧になって受け止めてくださったことにほっとしました。企画当初はサントラのライブ版みたいなイメージもあったのですけど、それともまた違ったちょっと不思議な感覚のコンサートだったのではないかと思います。
どの作品も例外なく、企画を組み立てる上でも、金銭的な部分でも本当にたくさんの方に直接/間接的に力を貸していただきました。私一人の思いや気力だけではどうにもならない事ばかりで、人との繋がりを通して支え合って初めて様々な物事が成り立っている事に、当たり前なのですが、改めて気付かされた一年でした。
なので悲しい出来事もたくさんありましたが、どういう形であれ去年一年間の巡り合わせに感謝する事、そして焦らずじっくり取り組む事から2021年をスタートしてみようと年始に思ったのです。今年も変わらず歩き続けますが、”チャレンジし続けながら”の一年になればと。
今はちょうど初となる演劇作品『サイドウェイ』の稽古が始まる直前です。
私にとってはとても思い出深い作品で、この作品を最初の演劇作品として上演できる事にワクワクしています。
個性溢れるメンバーとともに3月17日から東京芸術劇場シアターイーストで初日を迎えますので、状況が許される方はよかったら劇場で体験してみてください。そうでない方は配信も実施予定なので、ご自宅でワイン片手にゆっくりご覧いただくのもいいかも知れません。さて、2020年度最後の作品『サイドウェイ』に続く、2021年度上演予定の3作品を発表させていただきました。
上演予定の全公演を同時に発表するのは初めてですが、並びをみてどう感じられたでしょうか?
conSeptらしいと思われた方もいらっしゃるかも知れませんし、意外!と思われた方もいらっしゃるかも知れません。まずは5本目のMusical Dramaシリーズで、conSeptの代表作と言える『いつか〜one fine day』をこの6月に再演します。昨年のコンサート版を経てこの作品に対する個人的な思いは確実に深くなりました。再演ではこの作品の可能性を押し広げるべく新たなメンバーにも参加していただく事になりました。初演メンバーが作り上げた世界観を再演のメンバーでどこまで運んでいけるか、緊張感溢れるチャレンジになりそうです。現在初演版が配信中ですので、気になっていたという方は先に動画をご覧になるのもいいかも知れません。
続いて、『グーテンバーグ・ザ・ミュージカル』から数えてちょうど10本目のミュージカル作品で有り、Musical Dramaシリーズ6本目となる完全オリジナル新作『GREY』。『いつか』のコンビでお届けする初めての完全オリジナル作品で、そして初となる俳優座劇場と、初めてがたくさん待っている演目とあって私自身も楽しみです。
2021年度の締めくくりは演劇作品。来年はconSeptの創立5周年の年という事もあり、その最初の作品として韓国の小説『アーモンド』を選びました。Young Adultシリーズという新シリーズのスタートでもあります。この辺りはまたいずれ詳しくお伝えできるタイミングがあると思いますが、こちらにも初のチャレンジとしてオーディションを実施する運びとなっています。
これまでクローズドのオーディションを実施したことはありましたが、公募は初という事もあり、どんな方と巡り合えるか楽しみです。駆け足でのご紹介となりましたが、より詳しい情報はラインナップのリリースをご覧ください。
https://www.consept-s.com/news/2021/02/10/5773/
いかがでしょうか?
少しずつ新しいチャレンジを織り交ぜながら、4年目のシーズンもじんわり楽しんでいただける作品をお届けできるように準備していきたいと思います。
2021年度もどうぞよろしくお願いします。conSept LLC
代表 宋元燮
- 2020/03/31blog
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過去上演作品の期間限定配信について
conSept代表の宋です。
とても久し振りに公式のブログを更新しています。去る2月27日に新型コロナウイルス(以下COVID-19)の影響により『HUNDRED DAYS(以下100days)』の公演中止を発表し、その後当初の千穐楽の日であった3月8日急遽無観客の配信を行わせていただきました。
それから更に3週間くらいが経とうとしています。
その間、conSeptでは幾つか小さなイベントの中止がありつつ、金策に走り回ったり他に何かできることがないかを模索したりしながら3月末を迎えています。世間ではCOVID-19の影響が拡大し、首都閉鎖の可能性まで囁かれています。
周辺で親しくさていただいてる演者やスタッフの方々からは政府の対応に対する怒りの声が聞こえてきたり、落ち着かなさから何かやれる事はないかという声も届いたりしています。
とは言え私のような零細企業で何か大々的なプランが思いつくわけもなく、今は政府からの給付金や補填の情報が更新されるのを待ちながら、細々と明るい材料と少しの糧を共有していける方法を模索している最中です。そんな模索の中の一つが今回の配信になります。
100daysの配信終了から取り掛かったのでおよそ3週間ほどの時間がかかりました。
これほど短時間で許諾が出揃ったのは権利者の皆様も私同様に昨今の状況から少しでも明るい材料を探したかったからにほかならないと思います。この場を借りて心から感謝申し上げます。そして今回の配信は有料とさせていただきました。
海外も国内も様々な形で無料コンテンツを出してくださってる方々がいらっしゃいます。
これはとても尊い事ですし、私も一度は検討しましたが、conSeptが手がけた作品には公共の補助金が投下されているわけでもなく、また作品を立ち上げるために関わって下さった出演者やクリエイターの皆さんに微々たるものであっても、こういった形ででも著作権として収入を還元できたらと思い、有料に踏み切ることにいたしました。
この収益だけで今止まっている全ての仕事の補填が叶うわけではありませんが、多少の足しにはしていただけるのではないかと思います。そして劇場に足を運ぶことができず憂鬱になってらっしゃるかも知れない画面の向こうの観客の皆様にも少しでも観劇の楽しみをお届け出来たらと、苦心した結果今回のよう金額設定とさせていただきました。高いと感じられるかも知れないですし、ちょうどいい、安い、と感じられる方もいらっしゃるかも知れません。いずれにしろ初めてトライすることなので、体験された結果として皆さんからもしご意見などいただけるようでしたら今後の糧にさせていただきたく思います。
正直に申し上げますと、個人的には配信どころかDVD化する事自体にも抵抗を持っている人間です。
ですが、3/8の100daysの経験を通して、観客の皆さんと対話する場所は必ずしも劇場でなくても良いのかも知れないという事を強く感じたのです。もちろん今でも多くの方がそう思ってらっしゃるのと同様に劇場でご覧いただけるのならそうしていただくのが最高であると思いますが、100daysの配信時に画面の向こう側にいらっしゃった皆さんの熱量はそれほどに凄いものだったと感じた次第です。さて、今回の配信の収益は出演者、クリエイターに還元するのはもちろんですが、COVID-19の対策現場にも一部を寄付する予定でいます。これもまた微力なものではありますが、沈静化を早める何かの役に立てればと思ってのことです。。
その先に再び舞台公演を心から楽しめる環境と皆さんとそれぞれの人生について対話できる時間が戻ってきてくれたらと願っています。ささやかなものではございますが、conSeptの過去作品をお楽しみいただけますと幸いです。
2020.03.31
conSept LLC
代表 宋元燮
- 2019/04/22いつかblog
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『いつか』全公演終了しました。
『いつか〜one fine day』無事に全15ステージ終了いたしました。
出演者、スタッフの皆様、そしてご来場いただいた観客の皆様、本当にありがとうございました。シアタートラムは私が舞台公演というものを始めた頃から憧れていた会場で、その場所でconSept初のオリジナル・ミュージカルを上演出来たことは何よりの財産となりました。
作品を選んでテーマが見えた頃はただただ気持ちに動かされて原作監督のイ・ユンギさん、ミュージカル版脚本の板垣さんと打ち合わせをしたり議論することが楽しくて仕方ありませんでした。
徐々に全貌が見えてきて、桑原さんの楽曲が上がってくると、そこから先は良い意味で私の手を離れて出演者とともに作品が勝手に成長していく姿を横から眺めている日々でした。
こうして観客の皆様の前に生まれたオリジナル・ミュージカル。
恐らく皆様によって更にここから先の成長が始まっていくのだと思います。
この作品が今後もまだ愛されるのであれば、そしてconSeptがお届けする作品が皆さんにとって有意義だったのであれば、まだまだここはスタート地点に過ぎないのだと思いつつ、またお会いできる日を楽しみにしています。conSept 代表 宋元燮
- いつか〜one fine day 公式サイト https://www.consept-s.com/itsuka/
- 2019/04/03いつかblog
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『いつか』通し稽古レポート
「いつもは小学校の教室みたいなのに、今日はシーンとしちゃって(笑)。やるときは、やるんだね」
「いつか~one fine day」の出演者8人を前に、演出家の板垣恭一が緊張を解きほぐすようにジョークを飛ばしました。3月29日。この日は初めての通し稽古。これまで場面ごとに区切り細かく練習していたのをベースに、最初から最後まで一気にノンストップで演じてみる稽古です。いつもより少し早めに稽古場にやってきて、台本を見返したり、セリフをつぶやいたり、いつもよりも少し緊張気味のキャストたち。
「失敗しちゃったり、セリフ忘れちゃったりしても、気にしないでください。そういうことで、始めさせていただきまーす」という板垣の合図で通し稽古がスタートしました。物語は「うつしおみ=現人」の曲から始まります。前奏が流れる中、腕時計を眺めるテル(藤岡正明、ヘッドフォンで音楽を聴くトモ(荒田至法)、傘をくるくる回すマドカ(佃井皆美)、そしてテルの横に立ち彼を見つめるテルの亡き妻マキ(入来茉里)……。
舞台は保険会社の廊下に移り、保険調査員のテルが、後輩タマキ(内海啓貴)の担当だった仕事を引き継ぐよう上司のクサナギ(小林タカ鹿)に命じられるシーンへ。交通事故で植物状態の女性エミ(皆本麻帆)の事故の原因を調べるという重苦しい案件に、気乗りしない表情で病院へ向かうテル。クセのある性格のエミの友人トモや、気が強くで心を開かないマドカに戸惑いつつ、仕事は膠着状態に。さらに会社に戻ると、中間管理職のクサナギに高圧的な態度を取られたり、後輩のタマキに振り回されたり。
妻を亡くして気落ちしたテルを演じる藤岡の陰のある演技が、見る人を引きこみます。と、同時にコミカルな要素もしっかりあるのが、板垣ならではの演出手法。病室で踊る粗削りなトモの歌、一癖ありそうなクサナギのニヒルな笑顔、タマキのイマドキの若者あるあるなセリフや行動が、時にくすっ、時にどっと笑いを誘います。
そして、酔ったテル(渾身の迷演技!)の前に、意識がないはずのエミが突然現れると、「行きたいところがある」というエミに振り回されつつも、閉ざされていたテルの心が徐々に変化していくのです。
エミの事故の陰にある、幼い頃に彼女を捨てた母親サオリ(和田清香)の存在。そして中盤からクライマックスにかけて次々と明かされていく、すべての登場人物が抱えるそれぞれの「生きづらさ」。それらが重なった時、全員で歌う表題曲「いつか」が稽古場に響くと、スタッフ一同ジーンとしながら聴き入りました。
初の通し稽古は、約2時間。動きや振付が加わり、板垣が「当て書き(俳優の個性に合わせてキャラクターを作ること)」をしたという脚本が、より立体的で、役者の個性が生き生きと輝くものとして可視化されてきました。
一回戦演じ切った役者たちの表情にも、充実感がにじみ出ていました。
藤岡:稽古でまだ試していない感情の線が自分の中で湧いてきたので、それをやってみました。見事に外したところもあったけど(笑)、課題が見えてきましたね。
皆本:流れに乗せられて「うーんっ!」って感じで、あっという間でした。一瞬でボロボロ泣いてしまいそうだった、感情を爆発しないように抑えつつ。面白かったです。第一歩です。
小林:もっとばたばたするかと思ったけど、うまくいってホットしています。場面転換の段取りもキャストがするのですが、スムーズにできたな、と。
荒田:通してやると、見えてくるものがたくさんありました。反省点も含めて。
内海:「あれも、これもできるんじゃないかな」って可能性が広がりました。抜き稽古では気づけなかったことだから、通してみて良かったです!
和田:通った、って感じ(笑)。芝居の組み立て事故みたいものも多発していたので、これから修正していきたいです。
入来:これまではテンション上げてやっていたけど、もっと普通にやってもいいのかな、って。もう一回作り直そうかな。頑張ります!
佃井:まだ、私の中では、チャレンジ、チャレンジ。アクションの部分も自分の中でマドカとリンクさせて、意味がある役作りをしたいと思っています。
初の通し稽古は自分を見つめ、全体を見つめ、試行錯誤が始まる第一歩。ここからさらに変化&進化して本番に臨みます。
文:桑畑優香
- いつか〜one fine day 公式サイト https://www.consept-s.com/itsuka/
- 2019/04/02いつかblog
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お祝い花、公式チケット等に関するアナウンス
◆お祝い花に関しまして
会場のロビーや楽屋が手狭となっているため、種類に関わらず本公演ではお祝い花をお断りさせていただきます。ご理解の上、ご協力いただけますと幸いです。◆プレゼント・お手紙に関しまして
公演期間中、会場に「プレゼントお預かり」BOXを設置いたします。
お預かりしたプレゼント・お手紙はスタッフより出演者に届けさせていただきます。
尚、会場への郵送でのプレゼント送付はお受け取りできませんのでご注意ください。生もののプレゼントは、施設内の品質維持が難しいため、お断りさせて頂きます。
また、主催者の判断によりお断りするものもございますので予めご了承下さい。
お客様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。◆公式チケットの受付について
conSeptショップでのチケット受付について、4月3日(水)0時の受付分より劇場での引換に切り替えさせていただきます。引き換えにつきましては「conSept公式引換窓口」にて下記のいずれかをご提示の上、引き換えてください。
1)スマホなどによるご注文受付確認メールの画面
2)ご注文受付確認メールのプリント尚、conSeptショップから申し込まれた方には引き続き「いつか」シールを贈呈いたします。
但し、枚数に限りがあるため、在庫切れの際はご容赦ください。
- 2019/03/28いつかblog
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『いつか』プレイベント・レポート
3月22日(金)19時30分、東京都内某所。抽選に当選したラッキーな50人(ほぼ98%女性!)で埋め尽くされたスペースは、イベント開始前から熱気があふれていました。
「いつか~one fine day」は新作ミュージカルであるがゆえに、ストーリーの詳細も、曲も、明かされるのはこの日が本邦初。8人の出演者と脚本・作詞・演出の板垣恭一、作曲・音楽監督の桑原まこが登場すると、大きな拍手が送られました。
男性は襟付きのシャツとジャケット、女性陣がワンピースなどでおめかしする中、一人赤いトレーナーで登壇した藤岡正明。
「ぶっちゃけて言っていいですか?みんなよそ行きですけど、僕だけ普段着で。今日は普段着のイベントにしましょう(笑)」というと、会場はぐっと和やかな雰囲気になりました。今回の共演がほぼ初めて同士のキャストたち。お互いの印象を問われると、藤岡は「タカ鹿さんがあまり鹿じゃないので新鮮でした」と不思議発言。小林タカ鹿は「内海君の明るさやおバカ感が突き抜けた感じで、カワイイ」。内海啓貴は、「十代の頃、藤岡さんが歌っていた歌が課題曲で、藤岡さんの動画を100回ぐらい見てました。だから初めて会ったときはミーハー気分でうれしかったです。稽古場では耳をかじられて……」と意味深な言葉で笑わせ、和気あいあいとした稽古現場をアピールしました。
また、佃井皆美が親友役の皆本麻帆を「一度共演してみたいと思ってました。すごいかわいいから」と評すと、皆本は「二人で歌うシーンがあるんです。目を合わせて歌った最初の日に、皆美さんの目から涙があふれてきて……。いい作品になると思いました」と言いながら、すでに泣きそうな雰囲気に。そんな仲間について和田清香は、「基本的にすっごく良い人たちです。なかなかこんなにオープンになれる安全な人たちっていない。構えずになんでもできる現場なんです」と語った。
「原作の韓国映画『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』を観た人いますか?」と板垣が会場に問うと、10人以上が手を挙げました。「映画と一番違うのは、群像劇に仕上げていて、それぞれのキャラクターの物語が同時進行していくということ」と、板垣。
続いて、キャストが自分の役と作品への想いについて、次のように語りました。
荒田至法「ゲイでストリートミュージシャンという、周りにはあまりいないキャラクターです。マイノリティーの部分を抱えていて、その傷を誰よりも理解する人間でありたいと思いながらやっています」
内海「平成は終わるけど、平成の若者みたいな感じを作ってます。素直にわからないことはわからないと先輩に言うとか。内海がサラリーマンだったらこんな風かな、っていうのが描かれてます」
小林「僕の役は中間管理職で、板挟みになりながら問題を解決するプレッシャーをガンガン与えていく。僕にもドラマがあるのを台本に描いてもらってうれしかったです」
入来「夫が死んだ妻を心の中で引きずってしまうような、いいパートナーでありたいと思いながらやっています」
藤岡「人生において誰しもが逃げたくなったり、足踏みを続けたり、そういう時ってあると思う。僕が演じるテルは、たぶん自分がイケていないというのを肯定して、弱虫になって逃げている状態。しかし、妻の死やエミとの出会いで生き抜いていくんです。人間の弱い部分を出す。劇場で共感してもらえると思います」
皆本「目が不自由で、植物状態になってしまった女性です。でも、テルに出会って、いろんなことができるようになる。それがすごく幸せだな、って」
佃井「妹のような存在の人が交通事故に遭う役で、大切に思っている人に何をしてあげられるのだろうって考えながらやっています。一つの答えが届けれたらという思いで稽古に臨んでいます」
和田「シチュエーションは激しめだけど、実際に通常生きている半径5メートル以内の話をしていると思いながらやっています。みなさんもいろんなバックボーンがあるなかで生きているので、きっと共感ポイントがあると思います」トークの後は、作品の中から「うつしおみ=現人」と「いつか」を生で初披露しました。ピアノの伴奏が流れると、会場は一気に「いつか」の世界へ。藤岡が静かに歌い始め、8人全員の声が重なる力強いコーラスへ。客席ではすすり泣く人も少なくありませんでした。
「社会派エンターテインメントをやりたいんです。お客さんが食べやすい味を大切にしつつ、そこに社会派の要素を入れたい。映画『グリーンブック』が黒人差別を、『ボヘミアン・ラプソディ』がゲイの話を描くように。差別や貧困は日本にずっとあったはずだけど、高度成長の中でメジャーなエンタメは触れないことになっていた。それが崩れてきたときに差別がむき出しになってきて。シアターが扱わないのはダメなんじゃないかという危機感があるんです。僕たちがやりたいのは、日本の今を舞台にしたミュージカル。現代のような、架空の設定ともいえます」(板垣)
終了後、SNSには、「命とか、重いテーマだけど観劇しながら色々考える時間になるのかもって、オープニングの歌を聞いただけで涙」「社会派エンターテイメント!演出さん演者さんのトークを聞いただけで、この作品は絶対に観なくてはならない!何かあるにちがいない!と感じる。素晴らしい生歌が聴けた」「あぁー早くみたい。歌がとにかく素敵だった。泣く。これはもう全通しますよ」という感想が続々とアップされました。
板垣曰く、「エンタメなので、いろいろな反射をするように、稽古をしています」。
4月11日からの公演に、ご期待ください!文:桑畑優香
- いつか〜one fine day 公式サイト https://www.consept-s.com/itsuka/
- 2019/03/22いつかblog
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『いつか』顔合わせ、本読みレポート
3月11日、午後。都内の稽古場に入るとパリッと引き締まった空気が感じられました。
「いつか〜 one fine day」顔合わせ。集まったのは、8人の役者、脚本・作詞・演出を務める板垣恭一、作曲・音楽監督の桑原まこ、そして美術、照明、音響、衣裳、舞台監督などスタッフ一同、さらに役者の事務所関係者まで、総勢約30名。
「よろしくお願いします!」ひとり一人が立って一言ずつ挨拶をすると、そのたびに拍手が起きました。全員の前で板垣が開口一番で説いたのは、「面白いお芝居にしたい」ということ。
「面白いとは観客の心を動かすこと。それは笑わせることかもしれないし、イラっとさせることかもしれないし、『かっけー!』と思わせることかもしれない。それで大量得点を取りたいんです。サッカーに例えれば、失点を恐れず大量得点を取ってほしい。150点ぐらい失点してもいいから、600点ぐらい取ってほしい」もともと演出家の板垣が、脚本・作詞まで担当してクレジットに名前を載せるのは初めて。
「このメンバーで勝ちたい。ピッチで戦うのはみなさんです」と、役者たちにエールを送りました。また、テーマについては「エンタメと社会派を合体させた、社会派エンタメ。貧困、女性、ゲイ、そして死の問題について自分なりに描いたつもり」と語り「行き詰っている人が、せめて明日を生きてみようと思える作品に」と抱負を明かしました。続いて、初の歌入り読み合わせのスタートです。
桑原まこが弾くピアノのメロディーが流れる中、半円形に並べたテーブルに座った役者たちが、真剣な面持ちで楽譜とにらめっこ。台本の冒頭からセリフを読み、ピアノに合わせて歌い進め、役者とスタッフ、それぞれの心の中で場面が浮かびキャラクターが動き始める。
台本に命が吹き込まれていく瞬間です。ほろ酔い気分のテルを演じる藤岡正明の演技があまりにリアルで一同大爆笑したり、クサナギ役の小林タカ鹿が、すでに表情まで中間管理職風になりきっていたり、エミの母親役の和田清香のセリフが、30代初めとは思えない貫禄だったり。
本読みが終わった後、最後までじっと聞いていた板垣は、「つなげていくとどんな風になるか楽しみだね」と笑顔に。「テルは会社に対して価値を見失っている人物。会社にぶら下がっているけれど、足場がないように見えるといいかな」など、キャラクターの解釈について役者からの質問を受け止めつつ、台本を読み解く白熱教室が続きました。
「みんなで一緒にだべりましょう。みんなも思うところあったら、言ってください」
セリフだけで演じた読み合わせは、いわば二次元のお芝居。翌日から始まる立ち稽古で、どんな立体感が生まれるのか、期待が高まる初日の稽古でした。文:桑畑優香
- いつか〜one fine day 公式サイト https://www.consept-s.com/itsuka/
- 2019/03/20いつかblog
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原作映画『One Day』のイ・ユンギ監督来日決定!
新作ミュージカル『いつか〜one fine day』の原作となる映画『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』(キム・ナムギル/チョン・ウヒ主演)を手掛けたイ・ユンギ監督が、ミュージカルの初日に合わせて来日することが決定しました!
これを記念して、4月12日(金)19:00公演終了後、アフタートークを開催することとなりました。
登壇するのはイ・ユンギ監督、ミュージカル版の脚本・作詞・演出を務める板垣恭一、主演の藤岡正明、皆本麻帆の4名。
イ監督は日常のささいな情景や女性の心理を細やかに描くことで定評があり、日本でも『チャーミング・ガール』や『素晴らしい一日』などで好評を得ています。
お時間のある方は是非4月12日公園にご来場ください!
来日に当たってイ監督からコメントが届いています。【イ・ユンギ監督からのコメント】
本公演の原作である韓国映画『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』を監督したイ・ユンギです。
この公演のお陰で日本を訪問することができとても嬉しく感じています。
日本にはよく行く方ですが、それは私が手掛けたほとんどの映画が何かしらの形で日本で上映されてきたからでもあります。
だから日本の観客の皆さんに対する想いもひとしおです。
素晴らしい公演になることを心から願っています。【イ・ユンギ監督プロフィール】
初長編作『チャーミング・ガール』で釜山国際映画祭のニューカレンツ賞を受賞し、サンダンス映画祭のコンペティション部門など多数の海外映画際に招待され注目を集めた。その後カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭コンペティション部門でお披露目した『ラブトーク』や『アドリブ・ナイト』を通して女性の内面と心理を繊細に描き続け、別れたカップルの奇妙な再会を描いた『素晴らしい一日』ではペクサン芸術大賞監督賞を受賞した。更に『チャーミング・ガール』『アドリブ・ ナイト』『素晴らしい一日』で3度ベルリン国際映画祭のパノラマ部門などに招待され、『愛してる、愛してない』ではコンペティション部門に参加したことで名実ともにベルリンが注目する映画監督であることを証明した。以降も『男と女』『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』などの作品を通して彼独特の映像世界を描き続けている。- いつか〜one fine day 公式サイト https://www.consept-s.com/itsuka/