- 2019/03/22いつかblog
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『いつか』顔合わせ、本読みレポート
3月11日、午後。都内の稽古場に入るとパリッと引き締まった空気が感じられました。
「いつか〜 one fine day」顔合わせ。集まったのは、8人の役者、脚本・作詞・演出を務める板垣恭一、作曲・音楽監督の桑原まこ、そして美術、照明、音響、衣裳、舞台監督などスタッフ一同、さらに役者の事務所関係者まで、総勢約30名。
「よろしくお願いします!」ひとり一人が立って一言ずつ挨拶をすると、そのたびに拍手が起きました。全員の前で板垣が開口一番で説いたのは、「面白いお芝居にしたい」ということ。
「面白いとは観客の心を動かすこと。それは笑わせることかもしれないし、イラっとさせることかもしれないし、『かっけー!』と思わせることかもしれない。それで大量得点を取りたいんです。サッカーに例えれば、失点を恐れず大量得点を取ってほしい。150点ぐらい失点してもいいから、600点ぐらい取ってほしい」もともと演出家の板垣が、脚本・作詞まで担当してクレジットに名前を載せるのは初めて。
「このメンバーで勝ちたい。ピッチで戦うのはみなさんです」と、役者たちにエールを送りました。また、テーマについては「エンタメと社会派を合体させた、社会派エンタメ。貧困、女性、ゲイ、そして死の問題について自分なりに描いたつもり」と語り「行き詰っている人が、せめて明日を生きてみようと思える作品に」と抱負を明かしました。続いて、初の歌入り読み合わせのスタートです。
桑原まこが弾くピアノのメロディーが流れる中、半円形に並べたテーブルに座った役者たちが、真剣な面持ちで楽譜とにらめっこ。台本の冒頭からセリフを読み、ピアノに合わせて歌い進め、役者とスタッフ、それぞれの心の中で場面が浮かびキャラクターが動き始める。
台本に命が吹き込まれていく瞬間です。ほろ酔い気分のテルを演じる藤岡正明の演技があまりにリアルで一同大爆笑したり、クサナギ役の小林タカ鹿が、すでに表情まで中間管理職風になりきっていたり、エミの母親役の和田清香のセリフが、30代初めとは思えない貫禄だったり。
本読みが終わった後、最後までじっと聞いていた板垣は、「つなげていくとどんな風になるか楽しみだね」と笑顔に。「テルは会社に対して価値を見失っている人物。会社にぶら下がっているけれど、足場がないように見えるといいかな」など、キャラクターの解釈について役者からの質問を受け止めつつ、台本を読み解く白熱教室が続きました。
「みんなで一緒にだべりましょう。みんなも思うところあったら、言ってください」
セリフだけで演じた読み合わせは、いわば二次元のお芝居。翌日から始まる立ち稽古で、どんな立体感が生まれるのか、期待が高まる初日の稽古でした。文:桑畑優香
- いつか〜one fine day 公式サイト https://www.consept-s.com/itsuka/